そもそも、“公人”と“私人”の定義とはなんなのか。園田教授は「法的な定義はない」と前置きしたうえで、こう続ける。
「公人は、大きく分けて『公務者』と『公的人物』に分類できます。公務者とは、国政に重大な影響を及ぼす可能性のある政治家や上級公務員など。公的人物とは、社会的に発言力のある大企業やマスメディアの幹部、ニュース・キャスターなどです」
公人と私人では、社会的な扱い方も異なってくるという。
「両者の区別は、『私的な行動に向けられる国民の関心がどこまで正当化されるか』ということの判断材料になります。例えば、私人とされる人々の休日の過ごし方、交友関係などはプライバシーの問題になってきます。これらが不当に暴かれることはありません。しかし、これが『公人』である安倍首相の場合は、こういった情報も政治に影響を与える可能性があるため、誰とゴルフをしたのかといったことまで報じられます。こうした『公人』には、プライバシーの保護が弱まると考えられています」(園田教授)
アディーレ法律事務所の谷崎翔弁護士も、「昭恵さんはいわゆる“公人”にあたると思います」と口をそろえる。
「日本の法律では、公人に関して明確な基準はありませんが、海外では社会的な影響力や、公的な財源(税金)を使って活動しているかが判断基準とされています。昭恵氏はファーストレディですから、海外から来た要人を接遇することもありますし、公的行事にも参加しています。いわゆる公人という扱いが妥当ではないでしょうか」
コロナ禍で軽率な行動をとったとされる昭恵氏。本人の口から真偽が語られることはあるのか。
「説明責任は間違いなくあるでしょう」(園田教授)
旅行が事実であれば、非難が集まるのは必至だ。(AERA dot.編集部/井上啓太)