開いた口がふさがらない。新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、安倍晋三首相の妻・昭恵氏が3月、大分県へ旅行に行っていたと一部で報じられている。
週刊文春の報道によると、昭恵氏は3月15日、約50人の団体とともに大分県宇佐市の「宇佐神宮」に参拝。ツアー関係者は「昭恵さんから『コロナで予定が全部なくなっちゃったので、どこかへ行こうと思っていたんです。宇佐神宮へは前から行きたかった。私も参拝していいですか』とご連絡をいただきました」と話したという。
当時、安倍首相が突如発表した「全国一斉休校要請」により、教育現場や保護者たちの間では混乱が広がっていた。昭恵氏が旅行したとされる前日(14日)にも、安倍首相は記者会見で「現状は依然として警戒を緩めることはできません」と話していた。そんななかでの“疑惑”である。
報道が事実であれば、昭恵氏に批判が集まるのは避けられない。
だが、ここで気になることがある。そもそも昭恵氏は、日常的に行動が監視されて然るべき“公人”なのかという点である。
これまで森友学園や加計学園、「桜を見る会」など問題が起きるたびに、その言動が問題視されてきた昭恵氏。だが、政府は昭恵氏を「公人ではなく私人」と閣議決定し、説明責任を避け続けてきた。
これについては、法曹関係者らから異論を唱える声があがっている。甲南大学法科大学院の園田寿教授はこう話す。
「『昭恵氏が私人だ』という政府の見解は、昭恵氏が公職者ではない、つまり『政治家や上級公務員ではない』という当たり前のことを述べているに過ぎず、議論の本質とかけ離れています。昭恵氏につける秘書や警備などには多額の税金が使われている。そして何より、『妻』という総理大臣にもっとも近しい人物であることから、安倍首相の政治判断に影響力のある人物といって間違いない。彼女の行動には社会的影響力があるのですから、『公人』として扱うのが妥当です」