このため日本政府は、雇用や家計への影響を抑えようと、売り上げが半減した会社や個人事業主に減収分を最大200万円支給したり、一定の条件を満たす世帯へ30万円を給付したりすることを柱とした緊急経済対策をまとめた。事業規模は総額108兆円で、過去最大級とアピールする。

 資産運用会社UBS証券ウェルス・マネジメントで日本株のリサーチヘッドを務める居林通さんは指摘する。

「需要が減り、資金繰りが苦しい今の厳しい状況を和らげる上で一定の効果は見込めますが、新しい需要を生み出すような対策はほとんど盛り込まれていません。一時の急場はしのげても、後になってまた追加の対策を迫られるでしょう」

 資金繰りに追われる企業には、急場しのぎの恩恵にもならない可能性がある。日本総合研究所チーフエコノミストの枩村(まつむら)秀樹さんは、対策のスピードの遅さや、申請手続きの複雑さなどが課題だとする。手続きや窓口の整備には時間がかかりそうで、現金支給などの支援策が受けられるのは、早くても5月の連休明け以降とみられているからだ。

 全国一般労働組合全国協議会東京東部労組には、日を追うごとに切迫した相談が相次ぐ。須田光照書記長は「労働問題というだけでなく、今日、明日の生活をどうしのぐかの問題になっている。コロナにかからなくても、生活苦で亡くなる人が出始めるのではないか」と懸念する。(本誌・池田正史、岩下明日香/新垣謙太郎)

週刊朝日  2020年4月24日号

[AERA最新号はこちら]