小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
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世界では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、オンライン授業に踏み切る都市も増えてきた。写真は上海市のオンライン授業の様子 (c)朝日新聞社
世界では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、オンライン授業に踏み切る都市も増えてきた。写真は上海市のオンライン授業の様子 (c)朝日新聞社

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【写真】上海市のオンライン授業の様子

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「おはよう。今日から4日間、毎日6時間オンラインで塾だから、また夕方話そうね」

 月曜日の朝、高3の長男のいつもより早いFaceTime(フェイスタイム)で起こされました。ふだんの寝ぼけ顔と違って、キリッとした表情です。

 長男は今年、大学受験。日本のような厳しい受験はないですが、秋の統一テストに向けて12年生たちは勉強に力を入れるのです。長男も週に1度通っている塾の秋休み(南半球の4月は秋)集中クラスに申し込んだのですが、コロナ危機でZoom(ズーム)開催に。休み時間に様子を聞くと、自分のカメラをオフにしているから教室よりもリラックスして受講できるけど、そのぶん本人の集中力が必要だとのこと。

 先月後半から息子たちの学校は自宅学習に移行。秋休み中の今は、普段通りパソコンから学校のサイトにログインして課題をこなしていますが、5月の新学期からはオンラインで授業が再開されます。今、先生たちが休み返上で準備を進めているところです。

 オーストラリアでは公立でもハイスクール(中高一貫校)に上がると基本的に1人1台PCやタブレットを持ち、国からもらったメアドを使って学校サイトにログインして、連絡や課題学習、テストの結果や成績表の確認などを行うようになっています。今回のコロナ危機でオンライン授業に移行するための素地は整っていたと言えます。

 ただ、息子たちを見ていると、友達とのコミュニティーに身を置くことや運動の機会を維持することの重要性も感じます。オンラインなら、いじめやスクールカースト、不登校や発達障害を持つ子どもの学習などの問題は軽減するかもしれません。一方で、新たな課題も生まれるはず。試行錯誤の中で、当分はより良いかたちを探る旅が続くのでしょう。息子たちを励ましながら、改めて学びの意味と向き合う日々です。

AERA 2020年4月27日号