病気になれば出費がかさむ。確定申告では、主に1年間に医療費を10万円超支払った人が受けられる医療費控除、10万円以下の場合、市販薬で健康を維持する人を対象としたセルフメディケーション税制が使えることもあるので検討しよう。

 さらに生活費が足りないときは、当面の生活費を無利子で借りられる生活福祉資金貸付制度がある。新型コロナでは、20万円を借りられる緊急小口資金への申請が殺到。返済猶予は最長1年、返済期間は2年以内だ。同じ制度の総合支援資金では、2人以上の世帯なら最大60万円、単身なら45万円まで保証人なし、無利子で借りられる。前出の拝野さんは指摘する。

「個人向けの支援では、10万円の一律給付を除けば貸付制度が中心。そのため、失業したら雇用保険の失業給付を受けることになります。離職理由が『自己都合』だと給付まで3カ月かかるので、会社都合の離職票を会社に作成してもらうことが大切。また、解雇通告は1カ月前にする必要があり、突然の解雇は1カ月分の給料(解雇予告手当)を請求できます。危機的な状況だからこそ、しっかりと権利を主張してほしい」

■意外と使える生命保険の特例

 もともと政府や自治体の支援制度は複雑でわかりにくい。申請の窓口や対象者、金額などがひと目でわかる「新型コロナ対策支援カード」を作った永野海弁護士は言う。

「複雑でわかりにくいのは、政府や自治体側に財政的な支出を絞ろうという発想があるからです。申請してからお金がもらえるまでにも時間がかかる。既存の制度を含め、アンテナをよく張って、もらえるものは遠慮せずにもらうようにしましょう」

 生命保険各社も、新型コロナ対応を始めている。感染して入院した人や、医療機関の事情でホテルや自宅で療養した人に対しても、医療保険の給付対象にすると発表。保険料の支払い猶予など特例を設けたり、解約返戻金を借りることのできる契約者貸し付けを実施したりするケースもある。

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