新型コロナウイルス感染拡大に伴い、「コロナ差別」が日本各地で起きている。長野県、徳島県、岩手県の状況を伝えるとともに、なぜ差別が起きるのかを東京都立大学教授で社会学者の宮台真司氏に読み解いてもらった。
政府はゴールデンウィークを前に、都道府県をまたぐ不要不急の移動の自粛を呼びかけた。そんななか、長野県佐久市で、飲食店の駐車場に止めていた県外ナンバーの車の写真がツイッター上にさらされる嫌がらせが発生した。
その後、ツイートは削除されたが、ブログなどで取り上げて告発したのは地域ブロガーの櫻井泰斗さん(37)。6年前、同市の隣の長野県軽井沢町に移住してきた。
「ツイートには『狭い店に来られたら脅威』というようなことが書かれており、それに賛同する声が多かったのには危機意識を覚えました。県外ナンバーというだけで、観光か他に事情があるのか、事実確認もなしに、私刑に処す。行き過ぎた差別です」
佐久市移住交流推進課によれば、4月末から、車のナンバー変更が済んでいない人を対象に、「私は佐久市の住民です」と書いたカードを配布。それを車の後方のリアガラスに貼ってもらうようにしたという。
だが、前出の地域ブロガーの櫻井さんは、これでは問題の解決にはならないと指摘する。
「別荘も多い地域。佐久市民ではなくとも長期滞在している”別荘族”もいます。住民だというカードが貼れない人に更に差別が向かうのです」
徳島県でも、県外ナンバー車とのトラブルが発生した。
同県の飯泉嘉門知事は記者会見で、県外ナンバー車に「暴言やあおり運転、投石、傷つける」などの差別的行為をするのはやめるように呼びかけた。県危機管理政策課の担当者はこう話す。
「県のほうに、『あおり運転をされた』という被害の電話がいくつかありました。投石や車にキズをつけるというようなことがあれば、器物損壊に当たり犯罪行為。警察に通報して下さいということになります。そういうことがあると思われましたので、冷静な対応をお願いしますと県から呼びかけました」