ハライチの岩井(左)と澤部(右)(C)朝日新聞社
ハライチの岩井(左)と澤部(右)(C)朝日新聞社
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 4月11日に放送された「史上空前!! 笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2020」(TBS)で、ハライチの岩井勇気(33)と渡辺直美(32)が披露したミュージカル調のネタ「塩の魔人と醤油の魔人」が話題となった。

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 ネタ作りの際に「やるんだったら、ちょっと、バズりたい」と豪語していた岩井の目論見はみごと的中。インパクトのあるキャラクターと独特のメロディにハマった視聴者が多かったようで、放送後は「メロディが耳から離れない」「中毒性ありすぎ」などSNSに絶賛の声が多くあがった。

 かつては相方である澤部佑(33)のピン活動が目立った同コンビだが、最近では岩井の多才ぶりが注目されている。昨年発売された初のエッセイ「僕の人生には事件が起きない」(新潮社)は、何気ない日常が岩井独特の視点と感覚でシニカルに描かれているのだが、各所で高い評価を得て、今も売れ続けているようだ。

「エッセイの挿絵も本人が描いており、そのセンスも抜群です。小学生のときに水彩画を習い、高校では選択科目で油絵を専攻。芸人になるか美大で絵の勉強をするかで悩んでいたそうです。ほかにも17年間続けたピアノ、フットサルで全国3位になるなど、運動神経も抜群。その多才ぶりには驚くばかりです。音楽やアニメなどにも精通しており、まだまだ伸びしろがある岩井の快進撃が今後も続くでしょう」(テレビ情報誌の編集者)

 一方、岩井のように、かつては「じゃない方」と呼ばれた三四郎の相田周二(37)も近年、評価が上がっている。

「テレビでは滑舌の悪い小宮さんにスポットがあたり、相田さんはフォローにまわるため、あまり前に出ることはありません。ところが、ラジオだとその存在感がすごいんです。小宮さんとは真逆で滑舌がよく、聞き心地のよい美声の持ち主で、番組の進行も担っています。ふらっと入ったお店で7万円の靴を買ったり、仕事終わりに15万円のダウンジャケットを買ったりと金遣いの荒さが際立つエピソードを披露するかと思えば、小宮さんやスタッフを自宅に招いて生放送をやってみたり、突拍子もない言動にテレビとのギャップを感じ、ハマるリスナーも多いようです。巧みな話芸は、おぎやはぎさんや劇団ひとりさんからも絶賛されています」(同)

 低めの美声が買われ、単独でナレーションの仕事をこなす一方、昨年はドラマ結婚できない男2」(フジテレビ)にも出演。サイコパス風の演技が「うまい!」とSNSで騒がれるなどお笑い以外の仕事も増えている。

「相田さんが親友と豪語する俳優の菅田将暉さんは、会って2回目で、相田さんの(泊まるホテルの)部屋で飲もうと誘われたと自身のラジオで暴露していました。『変人でしょ、絶対』と突然の誘いに菅田さんは引いたそうです。リスナーからは『相田さんメンタル強すぎ』『コミュ力すごい!』など、反響が多く寄せられていました。その強靭なメンタルとコミュニケーション能力を武器に、今後メディア露出が増える可能性も高いと思います」(同)

■強烈なくっきーより優しいロッシーが人気!?

 他にも「じゃない方」として地味な存在だった野生爆弾・ロッシー(45)にも、光が当たっている。「水曜日のダウンタウン」(TBS)のドッキリ企画で、その天然さ&優しすぎさが注目を浴びているのだ。1月22日の放送回では「子どもからもらった松ぼっくり、家まで持ち帰らざるを得ない説」のターゲットに。握手を求めてきた女の子に、宝物の松ぼっくりをお礼として渡されたのだが、ただもらうだけでなくドングリを探し、それと交換するという優しさを披露。後日、返してという無茶ぶりにも家に取りに帰る神対応を見せ、視聴者を驚かせた。強烈なインパクトを誇るくっきーの陰に隠れていたが、最近では「世界一ピュアなお笑い芸人」としてバラエティ以外でも出番が増えている。

 続々と隠れた才能を開花させている「じゃない方芸人」だが、お笑い評論家のラリー遠田氏はお笑い芸人をコンビ単位で見て比較する時代ではないと解説する。

「『じゃない方芸人』という言葉は、お笑いブームだった2009年に『アメトーーク!』の企画で出てきたもの。コンビで人気や知名度に差が出てしまうという現象そのものを面白おかしく取り上げて話題になりました。しかし、今は社会現象と言えるほどお笑いが盛り上がっている時期ではないため、コンビの中で有名な方や売れている方を過剰に持ち上げること自体が少なくなっている気がします。そもそも芸人がコンビ単位でテレビに出ることも少なくなっているため、『コンビの人気や知名度は平等であるべきだ』という認識が作り手にも視聴者にもほとんどないと思います。そのため、じゃない方芸人という現象は以前ほど注目されなくなっています」

 かつては、南海キャンディーズの山ちゃん、オアシズの大久保佳代子、オードリーの若林正恭、アンジャッシュの児嶋一哉なども「じゃない方」芸人と呼ばれていたことがある。しかし、今ではテレビ界に欠かせないキープレイヤーとして重宝されている。コロナウイルスの影響でコンビでも個人でユーチューブに配信するケースも増えているが、新しい「じゃない方」を発掘してみるのもおうち時間の楽しみ方のひとつになりえそうだ。(高梨歩)