手前右から時計回りに、広東風おこげ料理小皿2410円、カキソース和えソバ880円、中えびのチリソース炒め小皿1980円 (撮影/写真部・加藤夏子)
手前右から時計回りに、広東風おこげ料理小皿2410円、カキソース和えソバ880円、中えびのチリソース炒め小皿1980円 (撮影/写真部・加藤夏子)
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「日本人と中国人の好みの違いなんて気にしない。蘭子さんの味を再現するだけ」と鐘さん (撮影/写真部・加藤夏子)
「日本人と中国人の好みの違いなんて気にしない。蘭子さんの味を再現するだけ」と鐘さん (撮影/写真部・加藤夏子)

 緊急事態宣言による外出自粛の影響から、飲食店は存亡の危機に追い込まれている。昭和時代から愛される東京の名店も例外ではない。令和でもその味を守り続ける名店を応援したい。広東料理の「嘉賓(かひん)」を紹介する。

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 料理の味と内容が変わらない。それが40年余り続く理由だと、店主の中野翔さんは説明する。

 中野さんの母・蘭子さんは中国広東省で生まれ育った。来日し、1977年に家庭料理の店として創業。開店当初から出したカキソース和えソバが、舌の肥えたマスコミ人や芸能人の間で話題を呼んだ。この麺は彼の地で夜食や朝食として愛されるもので、細麺をオイスターソースと和え、みじん切りにしたネギとショウガを加えただけというシンプルなもの。作家・開高健も、魅了された一人。開高は蘭子さんに頼み、四川が本場であるおこげ料理を、広東家庭風にアレンジしてもらった。

 30年前、広東から親戚の料理人・鐘少穏さんを招いた。鐘さんは以後、ずっと厨房で腕を振るっている。

(取材・文/本誌・菊地武顕)

「嘉賓」新宿区四谷1‐7 第3鹿倉ビル2F/営業時間:11:00~14:00L.O.17:00~22:00L.O./定休日:なし

※この時期の営業日・時間については、お店にお問い合わせください

週刊朝日  2020年5月8‐15日