反町隆史と松嶋菜々子。今年が結婚20年目という大物夫婦だ。文春オンラインが2019年11月末に発表した「好きな夫婦ランキング」でもいまだ9位にランクインするなど、相変わらず好感度も高い。
そんなふたりにとって、ピンチと呼べるのはドーベルマン騒動くらいかもしれない。
これは2011年、家族で飼っていたドーベルマンが同じマンションの住民にかみつき、その住民や管理会社とのトラブルに発展したもの。その後、示談や賠償などで決着したが、けっこう注目された。おそらく、反町とドーベルマンという取り合わせがスキャンダル的に絶妙だったからだろう。
というのも、彼にはもともと「吠える」イメージがあった。歌手としての代表作「POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~ 」(1998年)などの影響が大だが、それをこのエピソードがさらに補強した感じだ。ちなみに、やんちゃな男は強い犬や大きな車に愛着しがち。前者が反町なら、後者には木村拓哉がいる。そして、木村と工藤静香もまた、同世代の大物夫婦である。
しかし、反町・松嶋には木村・工藤ほどのやんちゃな印象はない。妻のキャラの違いといえばそれまでだが、夫のキャラも比べた場合、反町が大きく変化したというのも見逃せないのではないか。なにせ、彼は昨年、人命救助がニュースになるなど、すっかり「いいひと」ぶりが定着しているのだ。
その構図は一見、松嶋が反町を飼いならしたようでもある。実際、そういう側面もあるだろう。だが、それだけでもない気がするのである。
じつは反町、芸能史上まれな奇跡を実現した男でもある。デビュー時の所属はジャニーズ事務所で「ポスト光GENJI」として結成された平家派のメンバーだった。当時は本名の野口隆史で活動。「明星」89年5月号付録のアイドル名鑑には、
「メンバーの特技を紹介すると、野口はサッカーで鍛えたスタミナ」
などと記され、城島茂や国分太一、山口達也、坂本昌行ら他7人とともにプロフィルと写真が掲載されている。のちにTOKIOやV6のメンバーになってもおかしくない期待の若手だったわけだ。