10代を中心に、日本では数年前から韓国カルチャーブームが続く。関心が高まると同時に耳にする機会が多くなるのが兵役についてだ。日本人はなかなか具体的なイメージがわかないが、韓国において芸能人でもその義務は避けられないという。韓国の兵役に詳しい北海商科大学の水野俊平教授に現状を聞いた。
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「残念だけど、今は仕方がない。せめて年内にできるといいんだけど…」
4月末、新型コロナウイルス感染拡大の影響で韓国のアイドルグループBTSの世界ツアーが“白紙”になったというニュースが流れると、落胆の声がネット上に広がった。世界中にファンがいるBTS。日本でのコンサートには日本人のみならず、本国の韓国をはじめ、中国、フィリピンなどアジアのファンが足を運ぶほどだ。
ただ、今回のツアー再調整については、ある意味グローバルアイドルの宿命と思って受け入れるファンが多い。その一方で、いま関心が高まっているのが韓国の「兵役」についてだ。今年の12月に最年長メンバーが満28歳になり、いよいよ入隊とみられているのだ。入隊後、約2年間は芸能活動ができないといわれているため、今後のグループがどうなるかに注目が集っている。
「今や世界的なアーティスト。芸能活動で国に貢献しているので、兵役を免除されるのではいか」
BTSに関しては、以前からこんな噂が流れることがたびたびあった。
噂には何か理由があるようだが、水野教授は「実際は難しいでしょう」とみている。それについては、後述するとして、まず、日本人には具体的なイメージがわきにくい兵役について韓国の若者の心情を水野教授に聞いてみた。実は水野教授は、16年に及ぶ韓国在住経験があり、20代のころに特別に予備軍訓練にも参加したことがあるという。
「韓国の男性にとって兵役は義務であり、必ず経なければならない通過儀礼のようなものです。軍隊に行きたいと言う若者は誰もいないと思いますが、しかし義務であるので、行かなければなりませんし、不正な手段で免除された者に対しては平等の原則から非常な怒りを表します」
そもそも韓国における兵役というのは、どういったものなのか。