水野教授によれば、まず憲法で国民の義務として規定されており、憲法以外にも兵役法という法律があり、現在では満18歳以上の男性に兵役が課せられるという。

 18歳になると兵役の義務が生じ、満19歳までに兵役判定検査と言う徴兵検査を受けることになる。その結果、1級から7級までの等級に分類。1級から3級が現役入隊、4級は補充役といって公共機関などに出退勤して業務を行うことで兵役を務める「社会服務要員」、5級は戦時にだけ招集される戦時勤労役、6級は免除(疾病・障がい者、生計が困難な者)、7級は再検査。

 また、学歴によっても補充役になることがあり、高校中退・中卒の場合は自動的に補充役になるが、望めば現役での服務も可能だという。

 一般に芸能活動を休止する期間が「2年」といわれるのは、兵役判定検査で1~3級に合格すると、通常の場合は陸軍に1年9ヶ月服務することになるからだろう。それも法律が改正され、今年の6月からは1年6カ月に短縮される予定だ。

 期間短縮はファンには朗報だが、実は、2年(1年6カ月)できれいさっぱり「おしまい」ではないらしい。

「除隊した後も予備役(8年間、4年まで動員訓練あり)または民防衛という民兵(40歳まで)としての義務があり、完全に軍隊との縁が切れるのは40歳になってからです」

 さて、話をBTSメンバーに戻すと、28歳が「期限」となる理由はどこにあるのだろう。

「正確には、兵役判定検査を受けて直ちに入隊するのが原則。大学生や大学院生の場合、猶予期間があります。大学院生の場合27歳まで(医学部などは28歳まで)猶予されるのですが、BTSの場合は通信制大学院に在学しているため免除されているということになっているようです」

 つまり、27歳まで猶予されるということは、裏を返せば満28歳までに入隊をしなければならないということだ。さらに驚くことに、一定の年齢まで兵役を済ませていない場合は、渡航制限もあるという。

「入隊も入隊ですが、25歳以上になって兵役を済ませていない男性の場合海外旅行の回数に制限があります。海外ツアーなどで海外に出なければならないアーティストの場合にはこれも足かせになっていると思います」

 兵役といえども休みはある。その間に芸能活動はできるのか。

「通常の兵役で、軍隊に行く場合、営利活動はできませんので、芸能活動は事実上不可能です。たとえ休暇で軍隊から出てきている場合も、芸能活動はできません」

 ならば、BTSが兵役を免除される、芸能活動を続けられるのでは、という噂はどこから出てきたのだろうか。

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兵役をめぐる男女の不平等感が根底に