実は「筋の良い仮説」を導けるかどうかが鍵なのだ。著者は、これは経験がなくても、自分の経験したことのない事業全体を「地図」と「武器」で開拓していく過程で身に付けていくことができると言う。
前例のない誰も経験したことのない世界に直面したときに、問題解決の個々のフレームワークをあてはめたり(「旧世界的」な思考法だ)、今見えている事実、自分の限られた経験・知識だけで判断しようとすれば(これも「旧世界」だ)決して成功しない。「地図」で示された思考プロセスと各ステップで得られる「武器」、そして事業の成功失敗のポイントを同時に理解すれば、そこから「ここがわるいのではないか」「こうすればよいのではないか」という「筋の良い仮説」を導きだすことができるようになるはずだ。
新型コロナウィルスについてはまだまだ不明な点が多い。皆さんの多くは、先の見えないコロナ禍に直面し個人的にも所属組織としても前例のない難しい問題に直面しているはずだ。この機に自分だったらどう解決するのか、筋の良い仮説を立ててみてはどうだろうか。
宇田左近(うだ・さこん)
ビジネス・ブレークスルー大学 副学長、ビジネス・ブレークスルー大学 経営学部 学部長、東京大学工学部、同修士課程修了、シカゴ大学経営大学院修了、マッキンゼー・アンド・カンパニー、日本郵政株式会社専務執行役、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)調査統括等を経て現職。著者に『なぜ異論の出ない組織は間違うのか』(PHP研究所)『組織にいても独立しても自分の価値を高め続ける インディペンデント・シンキング』(KADOKAWA)などがある