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平成・令和を経ても守り続けられた日本の企業や個人を取り巻く環境は、コロナ・ショックによって働き方といったレベルを超え、思考法や必要なスキルまで強制的に変わりつつある。マッキンゼー・アンド・カンパニーなど名だたる企業・組織を渡り歩き、国の有識者会議のメンバーとしても活躍してきたビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)副学長の宇田左近氏に、マッキンゼーの後輩であり、BBT大学で講師を務める高松康平氏の著書『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』をヒントに、「コロナ禍後の世界でビジネスパーソンとして生き抜くために必要なスキル」について寄稿いただいた。
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2020年の年頭、新型コロナウィルスが数カ月後にこのような世界的大災害をもたらすと誰が考えただろうか? 事態が進み、イタリアをはじめ欧州で多くの死者が出ていた3月後半になっても、日本ではまだ、連休に外出する人、花見の人でにぎわっていた。その後、4月7日、日本でも感染者数が約4000人となり「緊急事態宣言」が発せられた。「危機感」はそれに応じたアクションにつながらなければ単なる「心配」にすぎない。様子を見ながら、小出しの対応をとり、だれが見ても明らかな事態になってから、判断するのではリーダーとはえない。政府は当初「2週間程度様子を見ながら」、という姿勢を見せた。実際のところ4月7日からの2週間で感染者数は約7200人増えたが4月21日からの2週間では約3800人、5月5日からの2週間では1000人超と増加者数は減少に転じた。もし2週間様子見をしていたらどうなっていたのだろうか。
■過去問のない世界での問題解決力
新型コロナウィルスによる公衆衛生上の非常事態(以下コロナ禍と称す)は、非常時におけるリーダーシップ、個々人の行動規律といった点に加えて問題解決力についても平時では見えなかったものを浮き彫りにした。前例にこだわり、失敗を認めず、責任はとらず、縦割り組織の中で為政者の姿しか見ない官僚たちは機能不全に陥った。それまで「優秀」とされてきた人達の混乱を目にして、果たして私たちは正しい人を選んで来たのか、過去問のないときに自分の頭で考えながら問題解決のできる人材を育ててきたのかという根源的な問題に行きついた。