皆さんの多くも、所属する組織においてリーダーたる人が非常時において前例のない問題解決にどの程度、力を発揮できたのか、例えば従業員の命を守るためのタイムリーな判断ができたのか、企業であればその価値を毀損しないための優先順位は明確につけられたか、コロナ禍以降の組織の持続性は考えられているのかといった点について客観的に判断する機会を得たのではないか。これを機に自分がリーダーだったらどうするのか、このような前例のない問題にどう対処するのかという点についても1人称で考えてみてはどうだろうか。
■まずはどこからはじめるか
これまでのような前例主義が用を為さないことが認識され、不確実な中で判断し行動できるということがより重要なスキルと考えられるようになるだろう。過去問に習熟し、記憶することが重視され、それが得意な人材が組織の中心であるべきとされた社会は転換する。もはやそれは「旧世界」のスキルだ。コロナ禍以降の世界において具体的にはどのような能力が必要となるのか世界中で模索が始まっている。
今私が手にしているこの本、『筋の良い仮説を生む 問題解決の「地図」と「武器」』は図らずもタイムリーにそしてクリアにコロナ禍以降の問題解決の要諦を示している。
■これからの時代の問題解決になぜ「地図」と「武器」が必要なのか
前例のない問題に直面したときに、ビジネスパーソンにとって、その問題の範囲を推察すること、その境界領域に対する想像力が大事になる。今自分が直面しているのは、自分の仕事の範囲に留まる問題なのか、それとも自分の役割を超えた事業全体から考えないと解けないのかまずよく考えたい。
この本で著者の高松康平氏は、ビジネスリーダーに求める問題解決の範囲は所属組織の範囲を超え、事業全体であるべきと説いている。
自分の世界より広い世界を念頭に問題を捉えたときに、否応なく自分では経験していない個々にはっきりわからない問題を扱うことにもなる。その時に必要になるのが自分は今どこにいるのかその現在地を示す「地図」だ。