もらって嬉しかった物といえば、女房からのプレゼント。全日本プロレスをやめてSWSへ移籍したときに、当時俺が一番いいなと思っていた車、ベンツ560SECをプレゼントしてくれたんだよ! びっくりしたね。プロレスラーとしての見栄もあるだろうからっていうのと、万が一、事故に遭ったときに俺の体を守ってくれるように安全面のことも考えて頑丈な車を選んでくれたんだと思うよ。
それから時計。何気なく女房に「(ジャイアント)馬場さんがロレックスのいい時計をしててさ~」と話したことを覚えていて、俺が45歳か46歳のときに同じ時計をプレゼントしてくれたんだ。いやぁ、これも嬉しかったね。普段は物にはあまりこだわらないんだけど、「馬場さんが持っていた」とか「大鵬さんが使っていた」とか、そういう物にはこだわる俺がいるんだよ。女房はそれを知っているから、俺の話を覚えていて「じゃあ、これね」って、プレゼントするのが常套手段。そうすると俺がすごく喜ぶ(笑)。女房のプレゼントはいつも的を得ているよね。
車は好きでいろいろ乗っていたけど、俺の親父も車好きでね。親父が喜ぶから、福井の実家に帰るときはいつも違う車に乗って行ったよ。車内に応接室がついているような大きいダッジバンに乗って帰ったとき、親父が嬉しそうに洗車していたことをよく覚えているよ。こうして、いろいろな車に乗って帰ることも親孝行だと思ってたんだけど、後で聞いたら親父は周りに「無駄遣いしやがって」って文句を言っていたらしいよ。あんなに喜んでいたのに(笑)。
このダッジバンは、アメリカ修業時代を思い出させてくれる車でね。向こうでは何人ものプロレスラーが一緒に乗って各会場を移動するから、みんなキャデラックやダッジバンのような大きい車に乗っていたんだ。小さい車に乗っているとレスラー仲間から非難されちゃう。中でもキャデラックは馬場さんも乗っていたし、アメリカのトップレスラーが乗ってるというイメージが強いね。1990年頃だったと思うけど、馬場さんがCMなんかに出演して実入りがよくなっていたときに、キャデラックだけじゃカッコつかないっていうんで、ベンツを買おうとディーラーに持ってこさせたんだ。そこで試乗したら、天井に頭をぶつけちゃってこれ「こりゃ、ダメだ」って(笑)。オープンカーに乗るときはフロントガラスの上から頭を出して、ヨットみたいに運転するほどだったから。