また、学習者の属性の違いについても検証しているのですが、

▼優越感(楽観的、自信がある等)が高い学習者は、視線不一致型だと、学習効果が下がる
▼外向傾向(積極的、陽気等)が高い学習者は、視線一致型だと、学習効果が上がる
▼不適応傾向(世間からの疎外感や不満感がある等)が高い学習者は、視線不一致型だと、学習効果が下がる

 といったことがわかっています。

――オンライン授業は対面に比べてまったくダメということですか。

 一概にそうとは言えません。たとえば、粗雑傾向(大ざっぱ、無頓着等)の高い学習者の場合、視線一致型または対面の場合、学習効果はむしろ下がってしまうという結果が出ています。

 また学習者がプレゼンテーションをおこなう形式の授業の場合、対面よりもむしろ視線一致型のテレビ会議のほうが、学習効果が高くなることもわかっています。プレゼンターからすると対面よりもリラックスして発表できますし、プレゼンを見ている学習者からすると、カメラ目線で話しかけてくれるのは、テレビのニュースを見ているような没入感を生むのではないかと考えられます。

 そして基礎学力が高い学習者は、対面において学習効果が上がるものの、とくにテレビ会議だからといって学習効果が下がる結果にはなっていません。ですから学習への意識が高い大学生などであれば、基礎学力も高く、オンライン化による学習効果のマイナスはあまりないと考えられます。とはいえ、先ほど述べたように空気感が伝わらないなどの理由から、学生は疲労感を感じているとは思います。

――視線不一致下でうまくオンライン授業を受けるコツはありますか?

 まず、使用するディスプレーを大きくすることが大事です。ディベート型の授業において、15インチ・30インチの画面をそれぞれ用いた実験をおこなったのですが、30インチ視線不一致型と15インチ視線一致型の間には、学習達成度に有意な差は見つかりませんでした。つまり、視線不一致によって伝わらないリアリティーが、画面の大きさによって補われていると考えられます。

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視線一致型は普及していくのか?