3月30日、民主党は消費増税法案を国会に提出した。ジャーナリスト・田原総一朗氏は消費増税法案の可否が野田首相の今後の進退を決めるという。

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 野田首相は閣議決定をして国会に上程したが、問題は採決である。

 私は何度も言っているが、消費税増税は自民党政権時代にやっておくべきだった。それを代わりにやってくれる野田内閣に、自民党は感謝こそすれ、反対する理由も資格もない。

 それに10年7月の参院選の際、自民党は「消費税を10%にする」とうたっている。にもかかわらず、自民党議員の多くが増税に反対している。

 前回、私は「野田首相は消費税増税も解散総選挙もできない」と書いた。すると複数の民主党議員から「残念ながら、私もそう思う」という電話をもらった。それぞれと議論もして、やはり野田首相は「消費増税に政治生命を賭ける」と話している以上、断固採決すべきだと確信した。採決すれば、自民党と小沢グループが反対し、否決されるだろう

 そうなれば、野田首相は勇気を持って解散すればよい。小泉純一郎元首相が郵政民営化法案を否決されて解散を敢行したように、である。

 野田首相よ、いま腹を決めなければ、あなたの政治生命は終わる!

※週刊朝日 2012年4月13日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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