


著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は、劇作家・岩松了さんの「サモワール」の「シビルヤンスキーボルシチー」だ。
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こちらは馴染みのロシア料理店です。以前、渋谷のBunkamura近くにあったとき、舞台帰りに寄ってからのおつきあい。僕は大学でロシア語を学んだり、チェーホフを敬愛していることもあり、なんとなく居心地のよさを感じました。移転してからも時々伺っています。
舞台の本を書くときは仕事場にこもって、誰とも話さず一日過ごすことが多い。そんな時、夜はこの店にふらっと出かけて、ママさんと話しながらグルジアワイン片手に食事をするのが息抜きになるんですよ。料理はご主人がひとりで作っていて、どれもうまい。僕は前菜の次に決まって頼むのが、野菜入りのボルシチ。むかしモスクワで食べたスープはもっと濃厚でしたが、ここのはさっぱりとして重たくない。揚げたてのピロシキも本当なら2個食べたいところですが、メインに羊の串焼きを食べるためにぐっと我慢(笑)。
一時期、体調を壊して休んでいたご主人が最近復帰されました。これは朗報。食事に行く日が待ち遠しいですね。
(取材・文/沖村かなみ)
「サモワール」東京都世田谷区池尻2‐9‐8エンドウビル1 F/営業時間:16:30~20:00/定休日:水 ※要予約。この時期の営業日・時間については、お店にお問い合わせください。
※週刊朝日 2020年6月12日号