AERA 2020年6月8日号より(写真:提供)
AERA 2020年6月8日号より(写真:提供)
AERA 2020年6月8日号より(写真:各社提供)
AERA 2020年6月8日号より(写真:各社提供)

 老若男女問わず愛されるプリン。1960年代には街のケーキ屋さんなどでも広く売られるようになり、72年にはプリン界の大横綱プッチンプリンが発売された。これからプリン界はどうなっていくのか。AERA2020年6月8日号の記事を紹介する。

【おすすめの「固め・柔らかめプリン」をご紹介!】

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 お店やメーカーによって多少の差はあっても、「お皿にプッチンしても形を保つ固さ」が常識だったプリン界。そこに93年、「トロトロ」の大波をもたらしたのが、名古屋発の洋菓子店「パステル」の「なめらかプリン」だ。まるでクリームのような食感を武器に、東京・恵比寿で人気店となり、「このトロトロのプリンは一体なんだーー!!」と衝撃を与えた。

 その後プリン界では長らく、「高級プリンはトロトロ系」という流れが主流となった。

 だが、ここ1~2年は固めプリンが急激に復権している。背景の一つと言われるのが、2018年ごろから目立ってきた「昭和スタイル」の喫茶店の流行だ。それらのお店のメニューで出される昔ながらのプリンが、「固め再発見」につながっているとみられる。

 柔らかめ優勢から一転、「ギュッと密な固め」と「トロッとなめらか柔らかめ」の2大勢力がせめぎ合うことで、プリン全体の人気も拡大中。

 固めと柔らかめ。プリンを誰よりも愛し、試作したプリンは3万種類以上、“幸せなプリンで幸せな生活”を理念とする「国際プリン協会」を立ち上げ代表に就いた濱口竜平さんは「どちらにも魅力があり、固めは懐かしさと卵のコクを、柔らかめは驚きと牛乳(クリーム)の旨みを楽しめます」と話す。

 柔らかめの魅力はそのなめらかさ。食べた瞬間に口の中でほどけ、卵・ミルク・バニラの風味が華やかに舌の上で広がる。高級食パンや高級かき氷が人気となる現代。牛肉や魚までも「とろける~!」が最高の褒め言葉となる中、口どけのよさはそれだけで「正義」と言える。

 対して固めプリンの良さは単体の味わいに加え、多彩な食材との組み合わせでも勝負できることにある。濱口さんがおすすめする「カフェリゼッタ」の「いちごのプリンアラモード」もその一つ。濃厚な固めのプリンが生クリームやフルーツに彩られている。柔らかさが席巻した時代が落ち着き、「食べた」という実感を得やすい固めが見直されているのかもしれない。

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