<早紀江さん> (めぐみと)すごく似てますから。会いたいですよ。こっちに来てくれればね。

<滋さん> (北朝鮮での会見で)テレビが事前にうちに来て、我々の写真とかマンションを撮影して持って行き、本人に見せたようなんです。テレビの人が、ぬいぐるみとかを渡したとき、(ヘギョンさんが)おじいちゃん、おばあちゃんは今度は来てくれるかと思ったけど、また会えなかったと言ったそうです。

――ヘギョンさんはエリートの子どもという印象でした。

<滋さん> (6月に会った)韓国の金泳三(キムヨンサム)元大統領も、そんなことを言ってました。私たちは朝鮮語がわからないけど、あの方はわかるから。泣いたり笑ったり、まるで俳優さんみたいだったと。

<早紀江さん> あの子にしたら、どうしようもないことですからね。そういう所で育ったんだから。言う内容を教えられたんだと思いますよ、きっと。
 
 そういうことも含め、本当のことはまだ出てこない。だけど隠れたものは必ず、全部、暴き出されると信じていますから。その過程で苦しまなきゃならないけど、私たちが生きている間に、願わくば、そうなってほしいと思っています。

 ですから、勝手には動けません。私は行きません。どんなことがあっても。

<滋さん> 行ったらなかなか帰って来られないとか、そんなことはないでしょう。

<早紀江さん> お父さんはいつも軽く言うけど。そんな国じゃない。人が良すぎるんです。

――北朝鮮について、息子さんおふたりの考えは、早紀江さんに近いんですか。

<早紀江さん> 同じです。3人はいつもよく似てます。

――お父さんは……。

<早紀江さん> 大変だと思いますよ(笑い)。柔らかいから。

――滋さんは、行ってみなきゃ、わからないじゃないかというお気持ちなのですか。

<滋さん> そうなんです。行っても成果がなかったら、それはゼロなわけで。ゼロかプラスかじゃないかと思うんです。

<早紀江さん> どの国も、いま北朝鮮にどう対処するか考えながら動いているわけでしょう。向こうも困れば、何か起こしてくるか、言ってくるし。こっちは、その時に対処すればいいんだから。

――早紀江さんは、めぐみさんが拉致されて7年後に、洗礼を受けられたそうですね。

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