AERA 2020年6月15日号より
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会見する北九州市の北橋健治市長。「第2波」との闘いについて「短期決戦で決着をつけたい」と力を込めた (c)朝日新聞社
会見する北九州市の北橋健治市長。「第2波」との闘いについて「短期決戦で決着をつけたい」と力を込めた (c)朝日新聞社

 北九州市で学校や医療機関などで新型コロナウイルスのクラスターが発生。感染者確認が相次いでいる。AERA 2020年6月15日号は、その背景に迫るべく専門家に取材した。

【写真】会見する北九州市の北橋健治市長

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「第2波の真っただ中にいる」

 新型コロナウイルスの感染者が4月30日から23日間確認されなかったのに、その後急増した北九州市。北橋健治市長は新規感染者数が26人となった先月29日、会議でそんな認識を示した。

 なぜ北九州市だったのか。「市民の気が緩んだ」「労働者の町でリモートワークできない」「大陸に近い」「夜の街が盛ん」など、メディアではさまざまな理由が挙げられた。

 しかし、救急振興財団・救急救命九州研修所教授で同市危機管理参与の郡山一明さん(61)はいずれも根拠がないと否定する。

「たとえば緊急事態宣言以降の福岡市と北九州市の人口変動分布を見ると、両市に目立った違いは見られません。感染増加はどこの地域でも起きうること。たまたま北九州市だったと言っても差し支えないと思います」

 ただ、「強いて言えば」として郡山さんは、北九州市のある特徴を指摘する。65歳以上の割合を示す「高齢化率」だ。同市は政令指定都市の中で唯一、30%を超える。加えて同市は人口10万人あたりの病床数や医療機関数が全国でトップクラス。高齢者施設数も充実している。「(病気で)倒れるなら北九州」とメディアで紹介され、市外からの患者も多い。この背景と関連した事例が見られるという。

 たとえば、介護施設から医療施設へ救急搬送された人から、救急隊員や医療施設職員など二十数人に感染が拡大したクラスターの例がある。

「この患者さんは、『症状が出たから』医療機関へ搬送された。しかしコロナウイルスは無症状の段階でも感染力が強く、介護施設での感染も疑われます。さらに、医療スタッフは市外に居住地のある人もいる。もう地域の中に蔓延していると考えるのが自然です」

 郡山さんは、「介護施設と医療機関などでの『施設間移動』がクラスターを生みやすい」点は、北九州から他地域が教訓にできるのではと注目している。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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