インターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁さん(47)は、病院や福祉施設、精神疾患施設、障害者施設などはそもそも「自粛時であってもなくても、集団生活にならざるをえない集団」であるためクラスターを生みやすいと指摘する。重要なのは、そこでの「定点観測」だと言う。

「その集団の中で、いちばん多数と接触する人の状況を、定期的にランダムにチェックすることで、効率的に感染を見つけることができる可能性がある。その態勢づくりは必須です」

 もう一つ、北九州市の感染確認数が増えている理由には、「北九州モデル」とされるPCR検査数の増加がある。市では全国に先駆けて5月23日から、新規感染者の濃厚接触者全員にPCR検査を実施。当然、陽性判明数は増えるが、無症状の掘り起こしにつながる。厚生労働省も29日、同様の方針を発表した。倉持さんはこう評価する。

「無症状の人に検査をしない態勢は、『重症2割・軽症4割・無症状4割』と考えると、コロナ感染者の4割を自由にしておくことを意味します。無症状感染者の増加をどうとらえるかという問題意識と態勢作りなしでは、自粛を解除しても同じことの繰り返しになります」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2020年6月15日号より抜粋

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