50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、突然患った大病を乗り越えてカムバックした天龍源一郎さん。2月2日に迎えた70歳という節目の年に、いま天龍さんが伝えたいことは?今回は「ペット・動物」をテーマに、飄々と明るく、つれづれに語ります。
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動物番組をよく観るけど、やっぱりライオンは百獣の王というだけあって、貫禄があっていいね。そして、その百獣の王にちょっかいを出すハイエナもいい根性をしているよ。ライオンを相手にチームで襲ったりして、インディー団体のややこしいレスラーみたいだね。誰とは言えないけど(笑)。
さて、ペットと動物か。ペットといえば、嶋田家では猫を飼っていたことがある。俺は動物は嫌いではないけど、相撲部屋にずっといたり、プロレスで日本全国を回っていたりで、飼える環境ではなかったんだよね。それが結婚して、娘が生まれて何年かしたころ、大阪で後援してくれている人に「子猫が生まれたんだけど、引き取り手がいなくて困っている」と相談されたんだ。後援者ともその場で盛り上がってしまい、娘もまだ小さいし情操教育にもいいかと思って、大阪から新幹線で猫を連れて帰ったんだ。娘は動物に興味があったようだけど、すばしっこい動きをする猫を最初はずいぶん怖がっていたよ。
我が家にやってきた猫はオスで、トムと名付けた。トム=富で、お金が俺のところに来るようにというよこしまな考えでつけた名前だ(笑)。そのおかげか、その後にメガネスーパーが立ち上げる新プロレス団体のSWSの話がきたりして、なかなかお金を運んでくれた招き猫だったよ。そうして飼い始めてしばらくしてから、女房が「オスだからお嫁さんがいた方がいいでしょ」と言うから、ペットショップでメスの猫を買ってきてミミと名付けた。やがて、トムとミミの子どもが生まれてべべと名付けられ、嶋田家の猫は3匹になった。生まれたほかの子は、知り合いの家に里子に出して、本人(猫)やその子孫が日本だけでなく、韓国やハワイにもいったんだよ。