木津さんによれば、緊急事態宣言後にテレワークが広まってから、以前と違う症状で来院する患者が増えているという。
「自宅のダイニングチェアで仕事をするという人が多いのですが、ダイニングチェアはリラックスできるように座面が後傾していることが多く、そこでノートパソコンを操作すると、上半身が前屈みになる。この姿勢は首への負担が大きく首コリとなり、ももの裏が圧迫され、血流が滞るのでむくみとなって表れます」
正しい座り方をするにはどうしたらいいのか。木津さんがカギを握るというのが「骨盤」だ。
「骨盤は人体の中で最も大きな骨格で強度も強い。その骨盤を立てるような気持ちで座る。そうすると下腹に力が入り、背骨が縦方向に伸びていきます」
そして、太ももと床が平行になるように心がけ、足は必ず床につける。パソコン画面は目線より少し下にいくように調整し、顔が前に出ないように意識することが必要、と木津さん。
「猫背座りと反り腰座りの中間、ニュートラルな状態を保つこと。重心が体の真ん中にきちんとあるので、本当の意味で身体にとって楽な姿勢になります」。
お尻の下にタオルを敷くなどすると、骨盤を立てた状態を保ちやすくなる。もちろん、正しい座り方を身につけても、やはり長時間座っていれば体に悪い。長くても2、3時間、できれば1時間ごとに歩くなどして、体を動かしたい。体全体の軸や肩甲骨をリセットするストレッチも有効だ。
正しい姿勢を保ちたくても、職場と違い仕事環境が整わないという人もいるだろう。
「家にあるもので工夫すれば、元手もかからず肩こりや腰痛の防止ができます」
そう提案するのはテレワーク導入を支援するコンサルティング会社テレワークマネジメント代表の田澤由利さんだ。
まず、ノートパソコンの高さが合っていない時。田澤さんは、パソコンの下に厚めの雑誌など身近なものを使い高さをかさ上げするようアドバイスする。田澤さん自身、家にある家庭用プリンターをノートパソコンの下に置いているとか。目線が画面とほぼ同じになり、目の疲れも感じにくいと話す。