テレワークに移行してから肩こりや腰痛に悩む人も多いだろう。原因は自分が楽だと思っていた姿勢が、身体に負担をかけていることだ。正しい座り方で改善できる。AERA 2020年6月15日号は、自宅にあるものを使った座り方の修正法をレクチャーする。
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「もう凝って凝って……」
都内の会社員の男性(43)は嘆く。緊急事態宣言が出た4月上旬からテレワークに切り替わり、家で仕事をするようになった。だが、家には会社にあるような机がない。そこでダイニングチェアや時にはソファに座り仕事をすると、3週間近く経ったころから肩こりがひどくなった。今ではこうこぼす。
「腰痛や眼精疲労もひどくなりました」
医療機器メーカーのオムロンヘルスケア(京都府向日市)が、テレワークを行っている20~50代の男女約1千人に身体の不調について尋ねたところ、全体の31%が体の不調を感じていると回答した。最も多かったのは「肩こり」で68.1%。他にも「腰痛」54.6%、「目の疲れ」50.5%、「むくみ・冷え」24.9%が目立った。
「痛みや凝りの原因は、無意識のうちに身についた間違った座り方にあります」
と話すのは、30年近くにわたり延べ15万人近い施術経験を持つKIZUカイロプラクティック整体本院(東京都中央区)院長の木津直昭(ただあき)さんだ。
肩こりや腰痛は血流が深く関係する。悪い姿勢で座っていると、腰や背中の筋肉が緊張して血流が悪化する。すると血液によって運ばれる酸素が不足し酸欠状態になった筋肉の中に発痛物質が分泌され、痛みを感じるようになる。
「それが長時間にわたり持続的に続くと、体の各関節軸の崩れ、肩や腰、首などに痛みや不調が出てきます」
注意したいのは「一見、楽に見える姿勢」だ。男性には「背中を丸める猫背」、女性には「腰をそらせる反り腰」が多いというが、いずれも重心が中心からずれた不安定な姿勢のため、身体のどこかに負担をかけ体重を支えなければいけない。その結果、首や肩の痛みをはじめとする諸症状が起きてくるという。