そのための基本となるのは毎日のセルフ・ケアだ。歯ブラシでしっかりとプラークを取り除き、歯と歯の間に残ったプラークは歯間ブラシやデンタルフロスなどを併用して落としていく。

 セルフ・ケアと並行して定期的に歯科医院にかかり、メインテナンスを受けることも欠かせない。

 セルフ・ケアで落としきれないプラークや歯石(プラークが石灰化したもの)を専用の器具で取り除いてもらうのだ。

「歯周病はむし歯と違い、進行しても目立った症状がありません。サイレントディジーズ(静かに進行する病気)と呼ばれるゆえんです。誰もが自分は歯周病ではないかと疑ってかかることが大事です」(江澤歯科医師)

「歯周病セルフチェック」のうち、一個でもチェックがついたら、歯周病の可能性があるという。

 こうした歯周病予防の重要性はまだ十分に知られていない。そこで「日本歯周病学会」と「日本臨床歯周病学会」はこの5月、一般向けに歯周病の知識を啓発する公式本(第2弾)を共同で刊行した。

 日本臨床歯周病学会理事長の武田朋子歯科医師は発行の狙いを、こう話す。

「インターネットなどで紹介されている歯周病の治療法や予防法には、標準とはかけ離れた情報が少なくありません。この本を通じて多くの人に正確な歯周病に関する知識や情報を得ていただき、大事な歯とからだを守ってほしいと願っています」

 同書では、歯周病で失った歯を補う方法として増えている「インプラント」や、インプラントのトラブルとして問題視されている「インプラント周囲炎」、失われた歯周組織を再生する「歯周組織再生療法」の最新情報なども紹介されている。(文・狩生聖子)

※週刊朝日2020年6月19日号