そしてもう一つ重要なのが、質問票の(13)、(14)でみる社会性の評価だ。外出や人との付き合いで社会性を保つことも、心身の健康につながるからだ。

 これらに、生活習慣や体重変化、サポートの有無などのチェックが加えられている。東京大学高齢社会総合研究機構機構長の飯島勝矢医師はこう話す。

「本来は医師や看護師、保健師などの専門家が評価する健診ですが、自分で、または家族や友人とともにチェックしてもいいでしょう」

 その際、何点以上ならフレイル、という判定ではなく、マイナス方向の答えになった項目を改善して、次の機会にはすべての項目がプラス方向の答えになることを目指すのが重要だという。

「『はい』が三つだから、フレイルのリスクなし、という評価ではないのです。マイナス方向の答えのゼロを目指してください」(飯島医師)

■プレ・フレイルなら元の状態に戻ることも

 フレイルの要素は、それぞれが関係し合っている。例えば、一度転んでしまうと、また転ぶのではないかと不安になり、散歩をやめてしまう。引きこもり気味になって、徐々に足腰が弱ってくる、からだを動かさないので食欲が落ちる、友人にも会わなくなり、ぼんやりしていることが多くなってきた……このように、一つのフレイルから次々に、そのほかの面でもフレイルが起きてくる。

 東邦大学医療センター大森病院リハビリテーション科教授の海老原覚医師は次のように話す。

「小さなことがきっかけになって、ドミノ倒しのようにフレイルが進むケースは少なくありません」

 では、フレイルに気づいたときには、もう手遅れなのだろうか。そうではなく、重要なのはフレイルには可逆性がある、つまり努力次第で元に戻れることだと、両医師ともに強調する。あと少しでフレイルになってしまいそうな段階(プレ・フレイル)であれば、さらに戻りやすいという。フレイルを放置して要介護になってしまうと、元の健康な状態に戻るのは難しくなる。

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脱フレイルにはどうしたらいい?