■「失敗から何を学ぶか」「人生をリセットして立ち上がる」
そして、それはそのまま人生にもつながることだと思うのです。27歳でSpanxという会社を立ち上げ、世界最年少女性ビリオネアとなったサラ・ブレイクリーさんは、「幼少期の父親との会話が最高のアドバイスだった」と言いました。
彼女の父親は家のリビングで彼女と向き合い、「今週はどんな失敗をしたのか」と聞いていたそうです。成績やテストの点数を聞くのではなく、「失敗したこと」に関して話していたのです。そして彼女が話した後、毎回、ハイタッチを交わしていたのだとか。
彼女は「当時はあまりわかっていませんでしたが……」という前置きをした後で、「このアドバイスは私の失敗に対する考え方に大きな影響を与えました」と話しています。「結果を恐れて自分の考えを追求できない人が大勢います。失敗は次に起きる素晴らしいことにつながるのだと、父に教えられました」。
親が子どもに「どんな失敗をしたか」と聞くことにより、子どもは自分がどんな挑戦をしたか、そしてその失敗で何を学んだかを意識することになり、さらに「失敗しても肯定してもらえる」「失敗したってやり直せばいいのだ」と思えるようになるでしょう。
彼女は会社をおこす前に、ロースクールの試験に2度失敗しています。その後、ディズニーランドで働くも希望の役職にはつけず、次はOLとして営業をこなしても客に拒絶されてばかりだったそうです。だからといって、彼女は決して何かに挑戦するという姿勢を失うことはありませんでした。
彼女は、「私は間違った映画に出ている。こんなのは私の人生ではない。カットして! こんなのは間違い」と思い、まさに「人生をリセット」して、お金をはたいて会社をつくったのです。 そもそも何かを成し遂げた人というのは、大抵、「失敗しても再度立ち上がれる」「失敗は成功のもと」のような格言を残しています。
親が、失敗に対して怒るのではなく、サラ・ブレイクリーさんの父のように、「たくさん間違えろ」とアドバイスしてくれるような寛容な環境こそが、道を切り開いて挑戦できる子どもを育てるのでしょう。
小学校1年生である息子の宿題を見ると、コロナウイルスで遅れているため、点線をなぞって線を引きましょうとか、失敗するほうが難しいものが多いです。ですから、勉強面で息子とハイタッチを交わすのはもっと先のことになりそうですが……大きくなったら、私も「今週は何を失敗した?」と聞いてみようと思っています。