でも、わずか半月後の8日午後5時54分、わさおは静かに息を引き取った。
「ふっと眠りに入って、寝てると思ったら、そのまま少しして呼吸が止まった。逝ったなって」
工藤さんは最期をそう語る。
菊谷節子さんの息子、忠光さん(55)は、わさおの遺骨を1年ほど前に先立ったわさおの妻「つばき」の遺骨の隣に置き、手を合わせた。
「気持ちを整理して構えていたが、いざとなればたいへん苦しい」
死が発表された9日には、次々に弔問に訪れた人からこんな声が聞かれた。
「見に来るだけで力をもらえる存在だった。わさおは鰺ケ沢のスターだ」「志村けんさんが亡くなって、寂しくなってたのかなあ」
「わさおを応援してくれた、愛してくれたみんなの中に、わさおがいる。それでいい」。工藤さんは、涙をこらえながら話す。
眠るように「犬生」を閉じたわさお。今頃は、大好きな節子さんと、久しぶりの散歩を楽しんでいるだろうか。(朝日新聞青森総局・吉備彩日)
※週刊朝日 2020年6月26日号