ネットフリックスで日韓ほぼ同時に配信され話題を集めているのが、4月から始まった「ザ・キング:永遠の君主」。韓国での放送直後にネットフリックスで配信されるため、ほぼリアルタイムで楽しめる。主演はアジアで大人気の俳優、イ・ミンホ。日韓併合で滅亡した大韓帝国が現在まで続いているという設定で、主人公の皇帝が住む大韓帝国と、ヒロインの刑事が住む大韓民国(現在の韓国)との二つの世界を行き来するファンタジーだ。
「最近は時代劇のヒットがなく、過去と未来など、二つの世界を行き来するファンタジーが人気。『ザ・キング』も複雑な設定のドラマですが、観るほどにおもしろくなります」(同)
加えて最近は、複数のジャンルをミックスした作品が多い。例えばラブストーリーを軸にしながらも、サスペンスやホラーの要素をミックスするなどだ。
「韓国の連続ドラマは1シリーズが平均15~20話、さらに1話が1時間超と尺が長く、よほどおもしろくないと最終話まで観てもらえない。のっけから視聴者をひきつける必要があり、ジャンルミックスの傾向が強まった」(All About韓国ドラマガイドの安部裕子さん)
例えば、19年下半期最高の視聴率を記録した「椿の花咲く頃」はロマンチックコメディーでありながら、サスペンス要素が絡み合う。地方の港町が舞台の一見素朴な群像劇がヒット作に大化けした。けなげなヒロインを演じさせたらピカイチといわれるコン・ヒョジンが、偏見にさらされながらも懸命に生きるシングルマザーを見事に体現している。
「主人公2人のラブストーリーに、家族のゴタゴタ、さらに不気味な連続殺人事件が絡まる展開。事件の謎解きも気になりつつ、家族の物語にも感動の涙が止まりません。サスペンスとしても最後までひきつけられ、私も含め、ドラマ終了後“椿ロス”になった人は多かった」(成川さん)
さらに、昨年韓国で放送された「ホテルデルーナ」もジャンルミックス作。歌手、女優として人気のIUが主演を務め、ヒット作を連発する脚本家・ホン姉妹が手掛けた話題作だが、ファンタジー×ホラー×ロマンスという異色の組み合わせが人気を博した。
「1話ずつ完結するストーリーが観やすい。ジャンルがミックスされているからベタさがなく、最後まで新鮮な感覚のまま物語を楽しめます」(安部さん)