苦しい時期が続いたが、実家の両親を頼るなど、なんとかしのいだ。現在は経済的に立て直し、「自分一人でも子どもを養っていける」という自信が生まれた。だが、それでも将来への不安は残る。コロナ禍で、「やはり夫がいるにこしたことはない」と思い直すようになった。
「婚活、始めてみようかな」
シングルマザーとなってからは、恋愛を楽しむ余裕などなかった。当時を「女として枯れていました」と振り返る平山さん。生活が安定したことで、「恋愛をしたい」という思いが再び湧き起こった。そのタイミングがちょうど新型コロナウイルスの感染拡大と重なったのだ。
そして平山さんはプロポーズを受けたわけだが、オンラインの会話だけで結婚を決断することにためらいはなかったのか。せめてコロナ禍が明けるまで待ち、直接会う機会を待つという選択肢もあったはずだ。ましてや4度目の結婚ともなると、より慎重になるのが自然だろう。
「結果的にいずれも離婚ということになりましたが、これまでの3回の結婚は、幸せがアップデートされていくような感覚だったんです。歳を重ねれば、自分の生活スタイルも変わってくるので、相手に求めるものが変わってくるのは仕方がない。もしかすると結婚を重ねることをマイナスだと捉えていないから迷いがないのかもしれません」
決断を後押ししたのは、彼女の前向きさだけではない。その裏には、相手に求める条件の徹底的なまでの「具体化」と、オンライン上での互いの価値観の「リサーチ」によるところも大きそうだ。
「婚活を始めるにあたり、相手の男性に求める条件を徹底的に具体化しました。相手の年収は800万円以上、身長は175センチ以上で中肉中背、出身は東京以外の地方、子どもは大学生以上といった具合です。プロポーズをしてくれた男性は、こういった私の求める条件にほぼ100パーセント合致したのです」
そして条件にあった男性と出会うと、その後はオンラインで「相手の価値観」を探り合う。相手が自分のパートナーに本当にふさわしいかを見極める、いわば“答え合わせ”のような作業なのかもしれない。