「よかったときも悪かったときも経験していますから。ロンドンのときは調子もよく、非常に楽しかった思い出があります。逆に、リオは滑り込みで代表に入って、不安を抱えたまま迎えてしまった。東京では、それを踏まえてロンドンの再現ができればとの思いは強いです」
練習拠点にしていたプールは緊急事態宣言を受け、約1カ月閉鎖された。その間は、まったく泳ぐことができず、現在もそれまで1日2回だった水中練習は1日1回と制限されている。 これまでの人生で、1カ月も泳がないことはなかった。水の中という特殊な環境だけに、感覚を取り戻すのも楽ではない。
「久しぶりにプールに入ったときは気持ちよさがありました。ただ、いざ泳ぐとひとかき目から重く感じたというか、以前は軽かった物が急に重たくなったような感覚になりました」
まずは、泳ぐための体力や持久力の回復。「何をおいても、そこから」と、鈴木は前を向いている。(スポーツライター・栗原正夫)
※AERA 2020年6月29日号