

先日このコラムで、魚たちの視力について紹介しましたが、今回は嗅覚について紹介します。
魚たちの視力は人間でいうところの0・1から良くても0・6程度とあまり目は良くありませんが、嗅覚については、我々よりはるかに優れていて、犬並みかそれ以上とも言われています。
というのも、見通しが効きにくい水中において、危険を察知したり、餌を探したり、交尾の相手を探したりするのには、目ではなく嗅覚や聴覚に頼った方がはるかに有効だからです。
特に嗅覚が鋭い魚の代表格としては、サメがあげられます。サメは数百メートル離れたところの一滴の血の匂いも嗅ぎ分けて、餌として捕食するために一気に突進して来ると言われています。
また、鮭は生まれた川を覚えていて、産卵期になると自分が生まれた川へ戻ってきて産卵すると言われていますが、これも自分の生まれた川の匂いを覚えていて、その匂いを頼りにはるか遠くから旅をして来ると言われています。
ちなみに、皆さんは魚の鼻の穴を見たことがありますか?
我々哺乳類の鼻の穴は普通顔の中心あたりに横に二つ並んでついていますね。一方、魚の鼻の穴は、普通は顔の左右に2個ずつ、合わせて4個ついています。
我々の左右の鼻の穴は内部でつながり、さらに気道にもつながっていますが、魚の鼻の穴は左右で独立しています。そして前後に並んだ鼻の穴がつながっていて、前の穴で水を吸い込み、水中に溶けた匂いを感じ、後ろの穴から出しています。
鼻の穴とエラはつながっていないので、魚の鼻の穴は、呼吸には関係ないようです。
余談になりますが、我々人間の祖先も太古の昔には水中に住んでおり、当時は魚と同じく四つの鼻の穴があったと言われています。そして今でも当時の名残があるとも言われています。
もう二つの穴はどこだと思いますか?
それは、目頭の中です。
例えば、皆さんが泣いて涙を流す時、一緒に鼻水も出ませんか? また、目薬を刺した時に喉の奥に苦みを感じることはありませんか?
これらがまさに今でも鼻の穴と目がつながっている証拠です。
鼻から入れたミルクを目から出す芸をしている芸人さんをみたことがある、というかたもいらっしゃるかと思いますが、あの芸もこうした仕組みを利用した芸なんですね。
そして魚の鼻の穴についてもう一つ。
真鯛を天然か養殖か見分けるには、鼻の穴を見ればいいという説があります。