密を避けようがない満員電車。感染の危険性はないのか、交通手段によってリスクが変わるのか。京都工芸繊維大学准教授の山川勝史さんが解説する。AERA2020年7月6日号から。
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Q1:満員電車は危険なの?
山川:全員がマスクをしていれば問題ない。飲み会帰りのマスクなしの会話には注意が必要
乗客全員がマスクをし、適度に換気されていれば、飛沫(ひまつ)感染のリスクは比較的低いと考えられます。ほとんどの人がマスクをし、会話もあまり見かけない満員電車内でこれまで確定的なクラスターは発生していないことからもそう理解できます。
2、3月頃はマスク着用が徹底しておらず、換気の意識も低かったので、人が集まりやすい車両の入り口より奥が安全などと言われましたが、いまは位置によるリスクの差はあまり考えられません。
ただし夕方以降、飲酒後の人がマスクを外して車内で会話すると、感染リスクは上がります。1分間マスクなしでしゃべり続けることで出る飛沫の量と、咳を1回した時の飛沫量は同程度と言われることもあります。マスクなしで会話する人がいる車両は避けたほうが無難でしょう。
Q2:電車、バス、新幹線、飛行機など、交通手段によってリスクは違う?
山川:大差なし。
現在はいずれの公共交通機関も換気に気をつかっているので、リスクに大差はないと考えます。鉄道会社やバス会社も、車内の空気がどのくらいの時間で完全に入れ替わっているのか、アナウンスしたりホームページで公表したりしています。厳密には各車両の換気システムの仕様によって異なりますが、数分で換気されることが多いようです。新幹線や飛行機は窓がないので心配する人もいますが、新幹線では6~8分で、飛行機では2~3分で空気が入れ替わると各運営会社がホームページで公表しています。情報がなければ、聞いてみるのも手です。知ることで安心できるでしょう。
(編集部・石臥薫子、小長光哲郎)
※AERA 2020年7月6日号
■アエラでは、「新しい生活様式」を感染拡大防止の効果は維持しつつ、より合理的で続けやすい形にアップデートすることを試みました。発売中の「AERA 2020年7月6日増大号」では、4人の専門家に取材。27つの「新しい生活常識」を提案します。