その点、手越祐也さんは事務所を退所しているので、企画に制限がありません。テレビで活動していたときも、演者として最高のパフォーマンスをしていました。「世界の果てまでイッテQ」での活躍は皆さんもご存じかと思います。何年か前の放送で、タランチュラを捕まえて食べる企画をした際に、大の苦手なクモの脚を持って捕まえました。それだけでもすごいのに、その日の夜に、「もっと頑張ってでもクモを腕や身体に這わせたりすればよかった」と悔やんでいました。
このポテンシャルを持つ演者は、YouTubeにもなかなかいません。彼がYouTubeに進出した場合、大きな武器になると思います。
次に、年齢の問題です。YouTubeには、年齢の壁があります。その壁は、テレビよりもシビアです。
若年層に向けての発信は、女性であれば25歳、男性でも30歳を超えると、数字が落ちていきます。中高生向けだともっと早い段階で数字が落ちます。ターゲットとして選定している視聴者の年齢と、演者の年齢がずれるからです。演者が出演しているチャンネルの場合、ターゲットの年齢を変えるか、コンテンツを変えなければ、長期的に活動することが難しくなります。特に異性をターゲットとする場合、女性であれば30歳、男性だと35歳が限界です。見た目だけで勝負ができない年齢になるので、知識や技術などの付加価値をつける必要があります。この点、手越祐也さんは現在32歳なので、YouTubeに取り組むとしたら早い段階の方が望ましいです。
最後に、ファンを知る作業です。ファンの属性を正確に把握すること、ファンの趣向を動画に取り入れること、この2点がYouTubeで成功するための要となります。
テレビは一方的な発信をするメディアで、視聴者のデータは視聴率という数字でしか知ることができません。ある番組の視聴率の数字を見ても、「どの演者がどの層に対して数字を持っているのか」を正確には測れません。情報を広い範囲の人々に届けるためのメディアだからです。