SNSを通じて性被害に巻き込まれる子どもが増えている。子どもたちはどんなきっかけでトラブルに巻き込まれてしまうのか。AERA 2020年7月6日号でその背景を取材した。
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少女(中学生)のスマートフォンに、SNS(会員制交流サイト)を通じてメッセージが届いた。数日前にツイッターで知り合った大阪に住む男(40)からだった。少女は前日の夜、SNSの使い方を巡って父親と口論になっていた。翌朝、少女は「散歩に行ってくる」と言って一人で家を出た。少女は高速バスと新幹線を使い大阪に行き、男の自宅に滞在した。3日目の夜、少女は東大阪市内の駅構内に一人でいたところを警察官に無事に保護された。その後、男は逮捕され、わいせつ目的誘拐罪で起訴された──。
これは、5月に西日本で実際に起きた事件だ。事件を担当する捜査1課の刑事は言う。
「少女は男とそれまで面識はなかった。SNSを通じて誘い出され、自分の意思で家を出た」
新型コロナウイルスによる休校や外出自粛で、子どもたちがスマホでSNSやゲームをして遊ぶ時間が増えた。それに伴い、子どもが犯罪に巻き込まれる危険性が高まる可能性もあると見られている。
警察庁の発表によればSNSを通じ性被害などに巻き込まれた18歳未満の子どもは、昨年は2082人と10年間でほぼ倍増し過去最多だった。被害者は高校生が最も多く1044人、続いて中学生847人、小学生72人の順。高校生は前年比53人増、小学生は同17人増で、中でも中学生は同223人増と大幅に増えた。
事件の内容は、淫行など青少年保護育成条例違反が最も多く844人。他にも強制性交等49人、強制わいせつ15人など、重大な犯罪に巻き込まれるケースもあった。
今や高校生で9割、中学生で8割、小学校高学年では3割がスマホを所有する時代だ。だが、見ず知らずの大人に会うのはなぜか。SNSを活用した子どもの悩みなどの相談に乗るNPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」のカウンセリングセンター長、新行内(しんぎょううち)勝善さん(51)はこう指摘する。