左上から時計回りに、ビートたけし、有吉弘行、マツコ・デラックス、山里亮太。写真はすべて(C)朝日新聞社
左上から時計回りに、ビートたけし、有吉弘行、マツコ・デラックス、山里亮太。写真はすべて(C)朝日新聞社
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 5月23日、恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(フジテレビ系、Netflix配信)に出演していた木村花さん(享年22)が自ら命を絶った。原因は明らかになっていないが、生前、彼女のSNSに誹謗中傷が集まっていたことから、同番組の制作手法や演出に対する非難の声が続出した。さらにその矛先は同番組のスタジオメンバーにも向けられた。矢面に立たされたのは芸人で南海キャンディーズの山里亮太(43)だ。TVウォッチャーの中村裕一さんはこう話す。

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「テラスハウスの住人はいわゆる“リア充”な人たち。スタジオメンバーの山里さんは、“非モテ”の代表として毒舌でときに彼らを批判し、視聴者の思いを代弁する役割をしていました。山里さんはその期待通りに“役”を演じていたに過ぎませんが、一部の視聴者は山里さんのいわゆる“毒舌芸”が木村さんを傷つけたと主張しているのです」

 そもそも毒舌芸とはなにか。辞書を引くと、「毒舌」とは「辛辣 (しんらつ) な悪口や皮肉を言うこと」とある。一方で「芸」で調べると、「学問や武術・伝統芸能などの、修練によって身につけた特別の技能・技術」(いずれもデジタル大辞泉より)と記されている。単純に二つの言葉を合わせると「悪口を言う特別な技術」ということになる。だが、毒舌芸の名手として知られる有吉弘行(46)やマツコ・デラックス(47)らは、辛辣なコメントで相手を批判するが、最終的には笑いを取ってその場を収める。どうやら「笑い」があるかどうかに「毒舌芸」を知るヒントがありそうだ。

 毒舌芸で知られた立川談志の弟子であり、落語家の最高位「真打」である立川談四楼さん(69)に解説してもらおう。

「周りがなかなか言えない本音や不満を、問題にならないギリギリのラインで吐くというのが毒舌芸の本領。そこには『よくぞ言ってくれた!』という共感の笑いが生まれます。談志は生前、『本当の毒舌を吐いたらテレビ番組なんか一発で降ろされるぞ』と話していました。それだけリスクが大きいからこそ、毒舌が『芸』と呼べるレベルにまで鍛錬されていないと非難される。素人が真似しても、しらけたり、周りから嫌われるだけです」

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大橋巨泉、ビートたけし… 毒舌芸の系譜