また近年、メディアなどでは脳梗塞のサインとして、FAST(Face:顔、Arm:腕、Speech:言葉、Time:時間)という言葉が使用されることも多い。横浜市立脳卒中・神経脊椎センター脳神経内科部長の城倉健医師は言う。

「時間が非常に重要です。脳梗塞の治療は一分一秒でも早いほうがいいので、症状に気づいたらためらわずに救急車を呼び、専門病院を受診することが大切です」

 かかりつけ医に行くのではなく救急車を呼ぶのは、治療を早く開始するためだけでなく、訓練を受けた救急隊によるスクリーニングを受けることで、適切な治療ができる病院に搬送してもらえるからだ。

 脳梗塞の症状にはこれ以外にも、片方の目が見えない、ものが二重に見えるなど、さまざまな症状が出ることがある。また、一度表れた症状が消えたり、症状そのものが出ない場合もあるので、注意が必要だ。

「症状が出ても、すぐに治る場合があります。これは一過性脳虚血発作(TIA)と言い、一時的に脳の血管が詰まったサインです。この発作が起きた人の10~15%は、3カ月以内(半数は48時間以内)に大きな発作を起こすことがわかっており、何かおかしな症状が出たら、それが消えてもすぐ病院に行く必要があります」(吉村医師)

 また脳ドックやMRI検査などを受けた際、全く症状がないのに脳梗塞があると言われる場合がある。これは無症候性脳梗塞といい、たまたま詰まった場所が良かったために症状が出ていない、という状態だ。

「無症候性脳梗塞がある場合、脳梗塞を発症するリスクは通常の4倍以上、また、認知症を発症するリスクも2倍以上あると言われています。高血圧や糖尿病など、原因となる基礎疾患の治療が不可欠です」(同)

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