脳梗塞を防ぐためには、原因となる動脈硬化や不整脈などを引き起こすリスク要因を減らすことが第一だ。リスク要因には、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの基礎疾患、肥満や運動不足、喫煙、飲酒などが挙げられるが、最も重要なのが血圧のコントロールである。

「血圧が高いと動脈の壁に常にストレスがかかって血管壁が厚くなり、血管壁が厚くなるとさらに血圧が上がります。高血圧と動脈硬化は悪循環を繰り返すのです。動脈硬化を防ぐには、血圧が高いことを放置しないこと。これが絶対的に重要です」(城倉医師)

■50歳以上なら一度は脳検査を

 血圧は130-80を標準とし、少しでも高ければ減塩や減量、運動をするなど生活習慣を見直す。それでも改善が難しければ、薬を服用して低く維持しておくことが望ましい。また無症候性脳梗塞などが不安な場合は、一度脳の検査を受けておくのも一つの方法だ。

「高血圧などリスクがある人はもちろん、特に問題がなくても、50歳以上で脳ドックや脳のMRI検査を受けたことがなければ、一度受けることをお勧めします。脳の血管の異常は検査をしなければ気づかないし、脳梗塞を起こしてからでは遅いですから」(吉村医師)

 まずは起床後すぐ(排尿後)と就寝前の血圧測定を、毎日の習慣にすることから始めたい。

(文・梶葉子)

≪取材協力≫
兵庫医科大学病院 脳神経外科主任教授 脳卒中センター長 吉村紳一医師
横浜市立脳卒中・神経脊椎センター副病院長 脳卒中・神経疾患センター長 脳神経内科部長 城倉 健医師

※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より

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