西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、西武の高橋光成と今井達也について、この1、2年が重要になると言及する。
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西武にとって開幕直後の大きなポイントとなると予想していた本拠メットライフドームでのソフトバンク6連戦(6月23~28日)は4勝2敗と勝ち越した。後半3試合は3連勝した。4番の山川穂高がこの3試合で4本塁打した。
例年の3連戦と違って、今年の同一カード6連戦になると、よほどの不振でない限り、主力打者をずっと眠らせておくことは難しい。ただ、遅らせることはできる。6連戦の2戦目なのか4戦目なのか6戦目なのか。パの他球団を見ても楽天・浅村や、ロッテ・レアードなど4番打者が打っているが、序盤に抑えきれないと、流れは悪くなる。
だからこそ、1、2戦目の先発投手は重要な役割を占める。今、西武で6連戦の1戦目を務めるのは高橋光成で、2戦目が今井達也。この2人がどれだけできるかで西武の順位も変わるかもしれない。
そう思って6月30日からのオリックス6連戦から2試合を見た。初戦の高橋光は試合をつくったが、これではエースとは呼べない。六回までは良かったが、七回は実にもったいない打たれ方をした。先頭T-岡田の二塁打はしようがないが、続くロドリゲスには初球真ん中直球。2球目も浮いたスライダーで、2ランされた。その次の若月も初球真ん中スライダーで中前へ痛打された。甘い球が3球続いたのだ。
ボール球はいくらでも使える場面。点差もそうない。状況判断に応じた技術がついてきていない。貯金をつくれる投手になるための壁。一呼吸置いて間を取るなり、やり方は人それぞれ。捕手の森が助けてやってもいい。2戦目の今井も五回までノーヒット投球だったが、六回に吉田正に2ランされた。
3巡目の壁とよく言われるけど、六、七回に迎える上位打線とのその試合の3度目の対戦を乗り越えないと、本当に勝てる投手にはなれない。1、2巡目の配球や、打者の球に対する反応、どんなしぐさをしていたかをしっかり見極められるかである。洞察力というのかな。2人にはその点がまだ物足りない。