俳優からもミニシアターを支援する動きが起こっている。「こはく」「嵐電」など、映画を中心に幅広く活躍する井浦新(45)は、渡辺真起子、斎藤工とともに、俳優が個々に活動を行うキャンペーン「ミニシアターパーク」を発足した。
「僕らが言えるのは、映画館を、映画を忘れないでほしいということしかない」と強調する井浦によると、お世話になった各地のミニシアターが苦しんでいると聞き、自分は何ができるのだろうとずっと悩んでいた。「何しろ、映画館に行こうの『行こう』が言えないわけですからね」
#SaveTheCinemaの呼びかけ人に名を連ねたが、多くの映画監督が最前線で戦っている姿に触発された。映画館が再開された後の第2、第3の支援となるよう、俳優たちの思いをすくい取る受け皿を作れないかと考えた。
「みんなで一緒に何かをやるのではなく、俳優一人ひとりの思いを自主的に表現する場にしたい。まずは僕ら3人が前例を作っていこうということになりました」
監督でもある斎藤は、リモートで短編映画を作って発表。渡辺は、大分県日田市のミニシアター、日田リベルテで出演作の「風の電話」が上映された際、オンライン舞台挨拶を行った。ソーシャルディスタンスで20席だけの入場だったが、50席の空席分をオンラインで販売して、ネットを通じて舞台挨拶を見せるという形で協力した。
「僕も京都シネマで出演作の『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』が上映されたとき、オンライン舞台挨拶をやらせてもらった。このときは空席分を販売するには準備時間が足りなかったが、今後はいかに空席を補っていけるか、いろいろと試してみたいと思っています。俳優も人形ではなく一人の人間ですから、困っている人がいたら手を差し伸べて、少しでも心が癒やされるように発信できたらと思う。そのためにミニシアターパークを活用してもらえたらと願っています」
こうして多くの善意に支えられているミニシアターだが、不安が消えたわけではない。国による援助も緒についたばかりだし、何よりいつまで席数を制限しなければいけないかというのが最大の課題だ。経済産業省や厚生労働省と相談しながらガイドラインを出しているという全興連も「夏休みが始まる7月下旬には緩和できないと厳しい」と認める。