最近になり、海外の学校では、学部を変えることは特に珍しいことではない、ということを聞きました。例えばアメリカでは、入学の時に専攻する分野を決めずに入ることができます。そして2年間かけて教養の授業を勉強した後、学部を決めていきます。


 
 さらに職業を決める時も、大学に入る時からインターンシップをして会社で働き、自分に合った会社を見つけたらそのままそこに就職するというスタイルなのだそうです。日本では会社に入ってから、どんな仕事をするのか教えられますが、アメリカでは入る前からすでに、「こういう仕事をする」ということが分かっているわけです。

 つまり、入ってから「思っていた仕事と違う」「自分のやりたいことではない」というギャップが生まれにくいのです。それにもかかわらず、実は日本では、「なんとなく転職しにくい」という空気が故意に作られているのです。

■卒業して1年経つと「既卒者」となり、就職が難しくなる
 
 日本の企業は、「新卒一括採用」といって、新卒者(卒業予定の学生)を毎年一括して採用試験を行い、卒業後にすぐ勤務させるという形式をとっています。この雇用形式でいまいちよく分からないのが、卒業して1年経ってしまうと「既卒者」として扱われ、就職が格段に難しくなる点です。

 既卒者にならないため、希望した会社に就職できなかった学生がもう1年就職活動をしようとすると、わざと単位を落として学校を卒業せずに「留年」という形をとるケースが多く、これを「就職留年」と呼びます。これは日本特有の雇用形式で、慣例的なものになっているのですが、留年した学生は大学に学費を納めなくてはならなくなるため、非常に無駄で、無意味な部分が多いような気がしてしまいます。

 こうして学生側は高いお金を学費として払わなくてはならないわけですが、企業にとって何かいいことがあるのでしょうか。もし卒業していたとしても、2、3年くらいなら「新卒者」として扱ってもいいのではないでしょうか。
 
 さらにこの新卒採用の裏には、当然、企業側のメリットがあります。他社で働いた経験がある人よりも、自分たちの会社の色に染めやすいのです。日本人は協調性を重視することもあり、最初に就職した企業にも愛着がわいてきます。そして研修を受けさせてもらい、社会人として育ててもらったという恩から忠誠心が生まれ、いつのまにか転職しにくい状況が作られていきます。

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