長塚圭史とはラジオドラマや朗読での仕事が主だが、今回のパフォーマンスはさながらラジオのように親和性のある舞台だった。彼の演出は間の取り方が絶妙で、画面越しのこちらと演者との間合いがほどよく、オンラインにもかかわらずストーリーがすっと心に入ってきた。

「盤嶽の一生」で初日スタート、「ワーニャ伯父さん」「新作・おもてなし」「怒涛」「都会の風」「夏の夜の夢」「純情一座」と、小演劇の聖地、下北沢ザ・スズナリから生配信された戯曲読み語りは、様々なジャンルから8日間。3密回避、マスク着用、人との距離2メートル、人の集まる場所では大声を出さないなど「ニューノーマル=非接触型」社会でも演劇人は負けないという気概を感じた。

 自粛期間を乗り越え、時代に食らいつく彼らの心意気が嬉しくて、自宅で美味しくビールを飲んだ。そうなのです。オンライン配信は自宅でゆっくりビールを飲みながら観劇ができるのです!

延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞

週刊朝日  2020年7月24日号

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