対象となるのは、局所進行膵がんで、血管にがんが食い込んでいるなどの理由で手術ができないケースに限っている。同院放射線治療科科長の伊丹純医師は、「適応を限定しているアメリカの成績では、患者22人の治療後1年間の生存率はほぼ9割」と、新しい放射線療法に期待を寄せる。

 MRIdianの特徴は、なんといってもリアルタイムで画像検査を受けつつ放射線を照射できるところだ。

「MRIdianは照射中にがんだけでなく、周辺の臓器の位置も確認できる。最適な照射範囲をその場で確認しながら治療を進めることができます。この結果、線量を通常の5倍にあたる1回10グレイまで増やすことに成功しました。やはり1回にかける線量が多いほど、がんをたたく効果は高くなります」(伊丹医師)

 現在、MRIdianの治療を受けられるのは、同院と江戸川病院の2カ所。自由診療なので国立がん研究センター中央病院では、210万円ほど費用がかかる。相談は同院のセカンドオピニオン外来で受け付けている。

 なお、膵がんを含む肝胆膵がんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。同ムックの手術数ランキングの一部は特設サイトで無料公開。

手術数でわかるいい病院
https://dot.asahi.com/goodhospital/

(文・山内リカ)

≪取材協力≫
日本医科大学病院 消化器外科准教授 中村慶春医師
国立がん研究センター 中央病院 放射線治療科科長 伊丹 純医師

※週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2020』より

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