上智大は共通テストを利用した選抜方式を新設する理由の一つを、「共通テストは、センター試験より思考力が問われる問題が多く、平均点も従来より低くなると想定されている。基礎学力を測るために活用できると判断した」(学事局入学センターの飯塚淳さん)と説明する。

 もう一つの目玉は、TEAPなど外国語の外部検定試験のスコアも利用できるようにする点だ。三つある方式の一つ、「TEAPスコア利用型」は共通テストは利用せず、同スコアと独自試験の合計点で合否を判定。昨年まではTEAPを出願要件としてのみ利用していたが、来年度入試では同スコアを独自の英語試験の代わりに活用する。

 旺文社の「蛍雪時代」編集部大学入試分析チーフの小林弘明さんは「英語が得意な生徒には有利」と見る。

 上智や学習院などは新たに共通テストの結果だけで合否判定をする入試も導入。受験生の志望動向への影響について、河合塾の教育情報部部長の富沢弘和さんは「コロナ禍で首都圏に行くのを避けたいと考える地方の受験生にはメリット」と話す。ただし、「志願者の延べ数は増えるだろうが、学内併願を除く『実志願者数』がどれほど増えるかは未知数」とも。

 青山学院大も個別学部日程の入試で、経済学部を除き、共通テストと大学独自試験の組み合わせで合否を決める方式を導入する。阪本浩学長によれば、基礎学力の測定は共通テストに委ね、その分、大学が独自に作成する総合問題や小論文で、より丁寧に思考力や判断力、表現力を見るのが目的だという。

「かつては個別大学の一般入試でも記述論述の力が問われたが、マークシート方式が主流になるに従い、受験生が暗記型の勉強に注力するようになった。その弊害をなくし、高校までのアクティブラーニング的な学びがしっかりと大学での学びにつながるよう転換する必要がある。偏差値でなんとなく大学を選ぶのではなく、青学で○○を学びたい、という目的意識を持つ主体的な学生に来てもらいたい」(阪本学長)

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