今年の受験生たちは、これまでになく政治やグローバルな社会情勢に翻弄されている。会場での模試もほとんど行われず、自分の実力を測ることさえ難しいという。そんな状況でも、多くの受験生は自らの第1志望合格に向け、日々努力している (c)朝日新聞社
今年の受験生たちは、これまでになく政治やグローバルな社会情勢に翻弄されている。会場での模試もほとんど行われず、自分の実力を測ることさえ難しいという。そんな状況でも、多くの受験生は自らの第1志望合格に向け、日々努力している (c)朝日新聞社
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 2021年度入試では入試方法も大きく変わる。なかでも関東の難関私大の動きが顕著だ。「コロナ禍の大学入試」を特集したAERA 2020年8月3日号では、各大学の変更点を紹介。

【学部系統別志願者数の推移と21年度の予想はこちら】

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 21年度入試では、入試方法の変更も大きなトピックだ。特に注目されるのは一般選抜で共通テストを組み入れた新たな入試を導入する早稲田大の政治経済学部、上智大、青山学院大立教大、学習院大など。駿台教育研究所進学情報事業部部長の石原賢一さん曰く、「関東の難関私大がこれだけの改革に動くのは過去40年でおそらく初めて」という。

「これまでの改革は関西の私大発だった。1回の入試で複数の学部・学科に出願できる『全学部入試』もそう。今回、首都圏の私大でも共通テストの新しい利用方式が広がる可能性がある」(石原さん)

 とりわけ専門家が注視するのは早稲田大の政経だ。共通テストと独自試験の合計点で選抜する方式を新たに採り入れるが、共通テストでは数学1・Aを必須とする。独自試験も内容を刷新し、「総合問題」とする。日英両言語による長文を読み解き、記述で答える問題もある。留学生を増やしつつ少人数教育を徹底するため、一般選抜の定員を450人から300人に減らすという大改革だ。川岸令和・政治経済学部長は「急に変わったという印象を持たれるかもしれませんが、入試改革が先ではなく、カリキュラム改革が先行し、合わせて入試も変えた、というのが実態」と説明する。

「政治学も経済学もいまや数理統計的な分析が欠かせません。主要な科目は日英両言語で開講するなど授業をハイブリッド化しているので、ある程度の英語力は必須。社会的テーマへの関心も持っていてほしいし、ベースとなる思考力・判断力・表現力も重要です。それらの資質を測れる入試にするのが本学部の入試改革の目的です」

 川岸学部長は入試の難化を恐れて受験者が減ることを「正直心配している」と言うが「逆に暗記は不要で普段の勉強をしっかりしていれば対応できる。入試改革は我々が目指す教育についてのメッセージだと受け取ってほしい」と語る。

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