すぐに、当時のマネージャーに「ボクのやりたいことと全然違うのでやめます。ボクはアイドルになりたいんです」って伝えた。

 すると、マネージャーに「アイドルユニットを組ませてやるから待ってくれ」って言われたんだ。

 それで紹介されたのが、団長とHIRO君だった。

 今でもはっきり覚えてるけど、待ち合わせは大阪、道頓堀のびっくりドンキー。

 最初、店内にいたのはHIRO君だった。HIRO君は、当時金髪で長髪、色が黒くて、身体もデカかったから、最初トンガのおばちゃんかと思った。

 ボクは、その時はまだアイドルユニットを組ませてやるって言葉を信じていたから、HIRO君の風貌を見て、ちょっとおかしいなとは思いつつ、身体が大きいから賛美歌とかオペラとかは上手いのかもしれないとかって妙に納得したりしてた。

 そのあとに、すぐに団長がやってきた。

 ボクは、団長に「歌とか得意なんですか?」って聞いてみた。すると団長は「カラオケ程度に」って…。ボクは「また騙された」って愕然としたよ。

 あとで知ったことだけど、その時、団長は当時のコンビを解散していて、新しいツッコミを探していたみたい。

 当時、大阪ではキングコングさんとか、ロザンさんとかが「WEST SIDE」っていうユニットを組んでいて、それがすごい人気があったから、ツッコミのできる背の高い男前を探していたらしいんだ。

 それで、HIRO君とボクを紹介されてるわけだから、団長もボクと同じで騙されてたんだ。

 ちなみに、HIRO君に関しては、「ハンバーグ食わしたる」っって言われて来ただけだから、騙されてなかったみたい(笑)

 安田大サーカスは、こんな志の低いメンバーでスタートしたんだ。

●結成直後は順調だったが、すぐに仕事はなくなった

 安田大サーカスが結成されてからも、アイドルになりたいから何度もやめようって思ったけど、意外とすぐにオーディションに受かっちゃったりして、やめるにやめられなくなった。

 フジテレビの深夜のネタ番組とか、大阪のロケ番組とかの仕事がポンポンって決まって、すごい順調だったんだよね。このまま売れていくのかなっていう期待もあったよ。

 でも、そんな時期は長くは続かなかった。

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