また生命保険契約などで支給される入院給付金や健康保険などの高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などを受け取っている場合は、その金額を医療費から差し引かないといけません。

 総額10万円を超える額というとかなり高額に感じますが、これは「生計を一にしている家族」にかかった医療費をすべて含みます。本人と配偶者、子どもにかかったいろいろな医療費だけでなく、高齢の親がいる場合の医療機関でのリハビリ治療などにかかったお金も合算できるので、細かい医療費をすべて足していくと、この額を超える家庭も少なくないと思います。なお、医療費控除の上限は200万円となっています。

■一部の「健康保険対象外」の費用も控除できる

 それでは、どのような費用がこの医療費控除の対象となるのでしょうか。表にまとめましたが、基本的には通常の治療費や検査費、医薬品代などの「保険のきく医療費」です。治療目的であれば、マッサージや鍼灸(しんきゅう)なども対象です。医療費控除の場合は、通院にかかった公共交通機関の交通費などもその対象となります。
 
 さらに高額になりがちな歯科のインプラント治療も認められています。インプラントは、50万~100万円ほどになることがありますから、治療をする場合はこの制度を利用したいところです。ただ治療目的ではなく美容のために歯を矯正した場合などの費用は対象外です。

■具体的に、どのくらい戻ってくるの?

 それでは医療費控除で実際にどのくらい税金が戻ってくるのでしょう。その前に控除についてごく基本的なことを簡単に説明しておきたいと思います。
 
 医療費などの控除は税額から直接差し引かれるものではありません。たとえば年間に50万円の所得税を納めている人の医療費控除が50万円だったとして、50万円-50万円=0で所得税が0とはなりません。
 
 この場合は、「所得税の計算をする元となる所得額」から差し引きます。給与の総額から、社会保険料分の控除や給与所得控除とよばれるサラリーマンを対象とした控除、扶養家族がいるなら扶養控除などさまざまな控除分のお金を差し引いた後の「課税所得」と呼ばれる金額に、税率をかけて所得税が計算されます。

 サラリーマンの場合、このような計算はすべて会社が年末に行っています(年末調整)。控除額の合計などは会社から渡される「源泉徴収票」に記載されています。

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