社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えする連載の第7回。
前回に引き続き医療に関係した「戻ってくるお金」について、知っておけば助かる控除に関して説明します。今回は一定額以上の医療費を支払った場合に税金を安くする方法です。
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これまで医療に関する社会保障の健康保険や労災保険などについて、基本を解説してきました。今回は社会保障ではなく、税金のお話です。
一定額以上の医療費を支払った場合、税金を安くすることができるのですが、特に若い人の場合は「なんとなくそういう話を聞いたことがある」ということも少なくないかもしれません。しっかり理解していないと「納めなくてもいい税金」を払ってしまうことがあります。そうならないためにも、ぜひこの記事を一読しておいてください。
なお、今回も今までと同じく「自分で申請」しないといけません。
■家族みんなの医療費合計が10万円を超えないか要確認
高額の医療費がかかった場合の保障である健康保険の「高額療養費制度」については、この連載ですでに説明しましたが、家計の大きな負担となる額の医療に関連した費用は税金面からもサポートされます。これは「医療費控除」と呼ばれるもので、簡単に言えば税金(所得税)を計算する元となる課税所得から医療費を差し引くことで税金が安くなる制度です。
この制度を使える基準は基本的に「年間の医療関係にかかった費用の総額が10万円を超えた額」です。例えば医療関係にかかったお金が年間15万円だとすると、
15万円-10万円=5万円
となり、この5万円が医療費控除の対象になります。総所得が200万円未満の人の場合、差し引かれるのは10万円ではなく、総所得の5%です(総所得150万円とすると、150万円×5%=7万5千円)。