スリ歴60年、逮捕は今回で23回目。御用となった79歳の女スリ師は大ベテランだった――。
11月7日、東京都武蔵野市にあるJR吉祥寺駅のデパートで、中野区に住む無職の神山さと容疑者が、女性客(62)から財布を盗もうとした窃盗未遂の疑いで現行犯逮捕された。
神山容疑者は19歳の頃からスリを繰り返し、今年7月に福島刑務所から出所してきたばかり。捜査員の間では、デパートの地下食料品売り場でスリを働く手口から"デパ地下のさと婆"と呼ばれる有名人だった。
警視庁の調べに対し、
「競艇で遊ぶカネと生活費に困ってやった」
と供述し、余罪もあるとみられる神山容疑者だが、自宅近くでの評判は意外なものだった。
「お店の常連でしたが、支払いをツケにするようなことはありませんでした」(元飲食店経営者)
近所の男性も言う。
「アパートの家主さんなので定期的な収入はあったはず。『ごちそうしてあげるから』と何度も声をかけてくれたので、お金に困っている様子はなかった」
実は神山容疑者は30代半ばで約20坪の土地を手に入れ、60歳の頃に鉄筋3階建てのアパートを建てた。1階と3階の一部を住居にして息子夫婦や孫と同居。残りを貸し出して家賃収入を得ていたのだ。